──なぜ、コミュニティー・マーケティングやファン・マーケティングへの関心が高まっているのでしょうか。

 まず、背景にあるのが日本の人口減少です。今後も人口増加が見込めないからこそ、企業は「1人の顧客と長く付き合っていく」ことを重視するビジネスモデルに変わりつつあります。ただ、そのこと自体は、特別に新しいことではありません。顧客が愛用者となってリピート購入し、企業にもたらす利益「ライフタイムバリュー(LTV)」を追求する考え方や、企業が消費者と直接コミュニケーションを図る「ダイレクトマーケティング」などは、インターネットが登場する以前からあります。

 

──コミュニティー・マーケティングにおけるメディアの役割は。

重要なポイントは「メディアそのものは、コミュニティーではない」ということ。メディアは、あくまでもコミュニティーを発生させたり、活性化させたりするための「トピックを提供する装置」という役割です。たとえば「telling,(テリング)」では、カテゴリースポンサーであるワコールと手を取り合って、ミレニアル世代の女性に向けたコンテンツを生みだしたり、トークイベントを開催したりしました。「あなただけに言うね」という世界観を有する「telling,」は、読者に語りかけるようなコンテンツによって、読者とスポンサーのコミュニティーを活性化させているのです。

── 特化したテーマで集まってきた読者同士を結びつけるには何が必要でしょうか。

 バーティカルメディアを活用した広告企画をつくるときは、単にページビューや定着率の目標だけではなく、コンテンツについて読者同士が意見交換できる場など、コミュニケーションが生まれる仕組みを含めた全体設計が必要だと思います。何らかの共通の趣味や目的を持ち、互いにコミュニケーションの手段があることでつながっている集団は「トライブ」とも呼ばれています。

メディアとプラットフォームの違い

トライブに対してコンテンツを提供し、そのコンテンツによって多くの人がつながり、それがコミュニティーになるという考えがあります。現状ではコミュニティーの意味が、拡張されている傾向もあります。コミュニティー・マーケティングやファン・マーケティングに注目が集まっている今だからこそ、コミュニティーやファンとは何か。それが企業のマーケティングに機能するとは、どういうことなのか。そのことをあらためて整理することは、必要なことだと思います。

高広伯彦(たかひろ・のりひこ)

スケダチ代表/マーケティングコンサルタント/社会情報大学院大学客員教授

1970年大阪府生まれ。同志社大学大学院修士課程修了。京都大学大学院経営管理大学院博士課程在籍中。博報堂DYメディアパートナーズ、電通、グーグルを経て、2009年にスケダチを設立。ビジネス開発領域のコンサルティングや各種マーケティングコミュニケーション企画やコンサルティングを手がける。 2012年に日本初のインバウンドマーケティング及びB2Bデジタルマーケティング支援企業「マーケティングエンジン」を立ち上げる。著書に『次世代コミュニケーションプランニング』、『インバウンドマーケティング』(共にSBクリエイティブ)ほか。現在、社会情報大学院大学客員教授も務める。

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