コミュニティーづくりに生かすデータ分析
特別講演 小野雄高

 朝日新聞のバーティカルメディア「ポトフ」は、同じ興味関心や価値観をもつ人がリアルとデジタルで集うコミュニティーづくりを目指している。盛り上がるコミュニティーをつくるには、運営側が、どのような人がどうやって集まり、どう行動しているかを知ることが重要であり、そのために有効なのがデータ分析だ。

 そこでグーグル合同会社ビジネスインサイトチーム統括部長の小野雄高さんが、Google アナリティクス 360(以下GA360)による「sippo」の分析結果をもとに、「コミュニティーづくりに生かすデータ分析」をテーマに講演した。

 まず「sippo」にはどんなユーザーが集まっているのか。ペットに関心があるのは当然だが、それ以外にどんな興味関心をもっているかを知ることで、ユーザーのインサイトを発掘できる。GA360によると「sippo」を訪問している人は、他に「環境保護」「家族中心」「写真好き」といったテーマやコンテンツに関心があることが分かる。「『本好き』も多いので、長い記事でもじっくり読んでもらえる可能性があります。また直近のオンラインでの行動から『国内旅行』『旅館』『新車』に購買意欲があることが分かります。ペットと一緒に旅行に行くための情報を探しているユーザーがいるのでしょう。このような分析が、今後の記事やタイアップ広告、コンテンツ開発に生かせます」と小野さんは語る。

 続いてユーザーがどこから来て、どう定着しているのか。ニュース配信、検索、ソーシャル、直接と、それぞれのチャネルから来ている人が何を見ているかを知ることで、どのチャネルでどういうコンテンツを配信すべきかのヒントになる。「流入経路によって読者の興味関心、読まれた記事は異なります。また毎日、サイトを訪れている濃いユーザーが閲覧している記事は重要です。それこそ、「sippo」がコミュニティーに提供している大きな価値である可能性があるからです」と小野さん。

 最後にコンバージョンの分析だ。「sippo」ではコンバージョンに至ったユーザーの47%がニュース配信、アプリから流入しており、重要な起点になっている。一方でソーシャルは2%に過ぎない。「ここは改善の余地があります。ソーシャルで単に情報を流すだけでなく、コミュニティーと会話をするなどの施策が必要かもしれません」と小野さんは指摘する。

 最後に、「sippo」は、3か月で直接流入してくるユーザーが当初の1.65倍に増え、コミュニティーとしての価値を上げていること、ポトフの5つのメディアは幅広い興味関心をもつユーザーを獲得していることに触れ、「今後におおいに期待している。さらに分析を重ね、よりコミュニティーに喜ばれるサイトへ育っていってほしい」と締めくくった。